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ダイエットボディースクワットと膝への負担

「スクワットで負荷を掛け過ぎたり、フォームによって、膝などを痛めることがありますが、それはなぜでしょうか? 」

エクササイズ動作中に起こる筋、腱、靭帯、関節周辺組織などの運動器の傷害の理由として、いくつかのことが考えられます。例えば、関節の可動域を無視した不適切な動きや、特定の関節に大きな負荷を与えた動きなどによって運動器に異常なストレスをもたらした結果などです。

スクワットの動作フォームの違いから膝にかかる負担と膝のケガについて考えてみましょう。スクワットするときの注意事項として、よく耳にするのが膝を足先よりも前に出ないようにするということです。この理由に、「膝への負担を軽くすることができる」、「大腿四頭筋を鍛えつつもハムストリングスなど他の筋肉にも同等に刺激を与えることができる」などが挙げられています。
これがどういうことを意味しているのか、簡単に説明してみましょう。体重60kgの人がスクワットする時、膝にかかる負担を考えてみます。
体重60kg(60×9.8=およそ600N)の人が反動を使わず一定の速さでスクワットをすると、動作に関係する股・膝・足関節に60kgの負荷が分散してかかってきます。ここでは、膝関節だけをクローズアップして他の関節については考えずに話をすすめていきます。
まず、直立姿勢で膝関節の回転軸が重心線上にあるときの膝への負担はないものとします。スクワット動作の開始によって膝を曲げると、膝の回転軸が重心線より前方に移動するため、膝へ負担がかかり始めます。膝への負担の度合は曲げ方次第、つまり少し細かくいうと膝の回転軸と重心線の距離に依存して変わってきます。膝を軽く曲げた静止状態では、膝の回転軸から重心線までの距離と膝の回転軸から反対側の作用点までの距離の比にそれ程の差がないため、膝には体重程度(テコ比が1対1の場合)の負担がかかります。
ところが、膝を前方に出して深く曲げてしゃがむと、膝の回転軸から重心線までの距離が遠くなり、テコ比に差が出てきます。仮に膝の回転軸から重心線までの距離と膝の回転軸から反対側の作用点までの距離のテコ比が3対1である場合、膝への負担は体重の3倍の180kgがかかることになります。
この状態を維持する(負荷に耐える)ためには、強い膝伸筋力が要求されます。しかし、この負荷を支えるだけの強い筋力がないと膝蓋骨内に大きな負担がかかり、腱や靭帯の断裂やその他の組織への障害を引き起こす原因となりかねません。そこで、この膝の回転軸から重心線までの距離を近く保ち、膝の回転軸から反対側の作用点との比を1対1に近い値を維持することで、膝への負荷を小さくすることができます。その結果、大腿四頭筋の負担が軽くなり、その分大臀筋、ハムストリング、背筋などへの協働作用を高めることになります。

このように動作フォームの違いによって、各関節にかかる負荷の大きさは変わり、強調される筋肉の割合も異なってきます。このような知識をトレーニングの目的に応じて活かす事は大切です。その代表的な例として、比較的軽い負荷で大腿四頭筋を集中して鍛えるボディビルタイプ(ハイバー)と膝・股関節伸展筋群を効率よく使って高重量を用いるパワーリフティングタイプの2つのスクワット動作フォームが挙げられます。

山内潤一郎