筋力低下と筋ジストロフィー
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「病気である筋ジストロフィーと一般的な加齢などにともなう筋力低下は、どこがちがうのでしょうか。」
一般的な筋力低下は神経系による機能低下と筋形態の萎縮の両方に起因します。加齢にともなう筋力低下も全体的な生理機能の低下と共に起こる筋神経系の低下と筋萎縮が原因です。
一方、筋ジストロフィーによる筋力低下は遺伝性の筋疾患の一つとしてよく知られています。
筋ジストロフィーの中で最も重症なデュシェンヌ型は筋細胞膜細胞骨格タンパク質であるジストロフィンの欠損によって引き起こされています。ジストロフィンやユートロフィンは細胞骨格を安定させるために必要です。したがって、ジストロフィンの欠損によって筋線維は破壊されやすくなり、多くの筋細胞は壊死に追いやられやすくなっています。このタンパク質の分解が合成に追いつかなくなった時、筋が徐々に萎縮していきます。デュシェンヌ型筋ジストロフィーの患者は歳を取ると共に筋力が衰えて車椅子、寝たきりとなり、最終的には心不全などの心疾患が原因で20歳前後で死亡してしまう重症な遺伝子病です。
一般的な加齢などにともなう筋力低下と筋ジストロフィーによる筋力低下は共通している部分も多くありますが、それぞれの具体的な相互メカニズムの詳細はまだまだわかっていません。その解明に多くの研究者が取り組んでいます。
筋萎縮は筋肉の成長因子を過剰に発現させることで一時的に妨げることは出来ます。しかし、これだと筋ジストロフィーでは細胞骨格が安定していないために奇形をもたらしてしまいます。
したがって、治療にはジストロフィンタンパク質の生成を遺伝子レベルで促すことがカギとなってきます。様々な方法でジストロフィンをつくる遺伝子の働きを正常にしてタンパク質を生成することが試みられています。例えば、ヴィルスを使ってジストロフィン遺伝子を体内に取れいれる方法もその一つです。しかし、ジストロフィンタンパク質のDNAが大きすぎるためにヴィルスの中に取り入れることが出来ないなどの問題が生じています。
この病気を解明し治療法を確立するために様々なタイプの筋ジストロフィーの動物モデルが存在しています。例えば、デュシャンヌ型筋ジストロフィー(DMD)としてmdxマウス、ラミニンα2の欠損しているdyマウス、肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)としてγサルコグリカンの欠損しているマウスなどがあげられます。
その中でもmdxマウスを使った研究は盛んに行われています。mdxマウスの特徴として、成長過程では筋細胞の破壊に再生は追いつき、むしろ速い?ぐらいで、ある程度正常に機能しています。横隔膜の筋肉は早い段階から筋の変性や繊維化が進んでいます。しかし、骨格筋、特に下肢の筋肉は小さくならず、むしろ肥大しています。しかし、大きさに比例して正常に機能していず、筋細胞の大きさにもバラつきが多くみられます。また、中心核が多くみられ、加齢と共に筋細胞は分裂と増殖の再生過程が破壊に追いつかなくなり、正常に働かなくなっていきます。
これらの動物を使った研究から、筋ジストロフィーの解明が進み、ヒトの筋ジストロフィー患者の治療に応用されることが期待されています。
山内潤一郎
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