遺伝子 異変 ミオスタチン 筋肉 研究 子供 発達 / ダイエット・フィットネス情報館ダイエットボディー.com





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「身体の大きさ、特に筋肉の大きさは何かによって制限されて大きくならないようになっているのでしょうか?」

昔から、身体が大きくなりすぎないように制御する物質があると考えられていました。この生理活動を抑止する内分泌物質のことをカローン(chalone)といいます。

1997年、Johns Hopkins大学のSe-Jin Lee博士の研究グループが筋肉の大きさを調節する因子を新たに発見し、科学誌Natureに発表しました(McPherron, Lawler & Lee 1997)。この因子が特に筋肉の制御に関わっていることからMyostatin(ミオスタチン)と名づけられました。ミオスタチン・タンパク質がつくられない遺伝子操作をしたマウスは筋肉が通常のマウスに比べて、2-3倍大きくなりました。

ダブルマッスルといわれ筋肉が異常に発達した牛 - Belgian BlueやPiedmontese - にもこのミオスタチン遺伝子の欠落や変異がみられました(McPherron & Lee 1997)。
Belgian Blueは第3エクソンの11塩基が抜けているため、塩基3個ずつの読み粋がずれてしまうframe shift mutation「枠移動変異体」が起きていました。
一方、Piedmonteseは第3エクソンのG塩基がAに置き換わっていたため、cystein(C)ではなくtyrosine(Y)が作られるpoint mutation「点変異体」が起きていました。
これらの結果、他のアミノ酸を読んでしまうようになり、ミオスタチン・タンパク質がつくられなくなってしまい、ミオスタチンの機能不全が起き、筋肉が発達したと考えられています。

これらマウスや牛による動物の研究成果からミオスタチンは筋肉が大きくならないために調節しているタンパク質であるといわれてます。

しかし、これまで人のミオスタチン遺伝子についてはよくわかっていませんでした。
ところが、2004年の6月にミオスタチン遺伝子に変異のある筋肉隆々とした赤ちゃんの存在がドイツで報告され、人でもミオスタチンが筋の大きさを調節している一つの因子であることが分かり大きな話題となりました。
この赤ちゃんは筋肉が普通の幼児に比べ2倍以上あります。また、3kgのダンベルを片手で軽々と持ち上げることが出来ます。この子どもは、何もしなくても普通の子どもに比べて筋力が異常に強く、そして大きく発達しています。それ以外はいたって正常で健康に支障はありません。また、この子の母親もミオスタチン遺伝子の変異によって突出したアスリートと報告されています。おそらく父親も遺伝子変異があるといわれています。このように両親に遺伝子変異のある子どもが生まれる例はまれです。
この研究に携わったドイツの医師や研究者らは、この筋肉が異常に発達した健康な赤ちゃんに筋の大きさを制御するミオスタチン遺伝子に変異があると推測し、ミオスタチンを発見したJohns Hopkins大学の研究者らと共同で遺伝子分析を進めました。その結果、ミオスタチンの遺伝子に変異があることがわかりました。この変異は普通の変異とは違い遺伝情報に必要のない部分(イントロン)にあり、転写から翻訳の過程でミオスタチン・タンパク質が作られないことがわかりさらなる注目を浴びました。

過去・現在のワールドクラスのウエイトリフターなどのパワー系アスリートの多くはミオスタチン遺伝子のない可能性が推測されます。
このような遺伝子変異のある子どもが生まれる確立は家系に大きく影響され、祖先に遺伝子変異のあった人がいたならば、その変異が子孫に引き継がれる可能性があります。
したがって、スパーアスリートの家系はスパーアスリートを生み出す可能性が高いのです。

ミオスタチンの研究は現在盛んに進められていて、次から次へと新しい研究成果が発表されています。

山内潤一郎